
LLMモデルの全体像:種類と選び方
クラウドのAPIと公開モデル、大きさ、MoE、思考、マルチモーダル、役割。たくさんあるLLMモデルを、何で分けて、どう選ぶかを短く整理する。
LLMモデルは、提供のしかた、大きさ、調整の目的、扱える入力、役割で分けると、見通せます。名前で選ぶのではなく、自分の用途の質問で比べて決めます。
LLMモデルとは
LLMモデルは、大量の文章で学習した、学習済みの重みです。仕組みはどれも同じで、次のトークンを確率で選ぶことを繰り返します。違いは、学習に使ったデータ、大きさ、学習のあとの調整、扱える入力にあります。
モデルの名前とバージョンは、数か月で入れ替わります。この記事は、変わりにくい「分け方」と「選び方」を中心にし、具体名は2026年10月時点の例として最小限にしています。
5つの軸で分ける
| 軸 | 分かれ方 | 何が変わるか |
|---|---|---|
| 提供のしかた | クラウドのAPI / 公開モデル(重みを配布) | データの行き先、運用の手間、使える最高の性能 |
| 大きさ | パラメータ数。全部を使う密なモデル / 一部だけ使うMoE | 賢さ、速さ、必要なGPU |
| 調整の目的 | 素のモデル / 指示に従う型 / 考えてから答える型 | 使いやすさ、答えの深さ、時間 |
| 扱える入力 | 文章だけ / 画像なども扱うマルチモーダル | 使える場面 |
| 役割 | 生成 / 埋め込み / 再ランキング / ガードレール | システムの中の持ち場 |
クラウドのAPIのモデル
Anthropic(Claude)、OpenAI(GPT)、Google(Gemini)などが、APIで提供しています。自分でGPUを持たずに、最高水準の性能を使えます。代わりに、入力は提供元のサーバーに送られます。
多くの提供元は、性能と速さ・費用の違う段を並べています。たとえばClaudeは、2026年10月時点で次の4つです(公式ドキュメントによる)。
| モデル | 位置づけ |
|---|---|
| Claude Fable 5.1 | 難しい推論と、長時間のエージェント作業向け |
| Claude Opus 5.5 | 多くの用途の出発点。長く続くコーディングや知的作業向け |
| Claude Sonnet 5.5 | 速さと賢さのバランス |
| Claude Haiku 5.5 | 分類、抽出、振り分けなど、大量で速さが要る処理向け |
いずれも、文脈は100万トークン、文章と画像を入力にでき、考える量はモデルが調整します。ほかの提供元も、似た段の並べ方をしています。迷ったら中位の段から始め、足りなければ上へ、量が多ければ下へ動かします。
公開モデル
重みが配布されていて、自分のPCやサーバーで動かせるモデルです。データを外に出さずに使え、ローカルLLMや複数人での配信の対象になります。
- 系統:Qwen、Llama、Gemma、Mistral、DeepSeek、GPT-OSS(OpenAIの公開モデル)など。vLLMなど主要な推論エンジンが対応している
- 例(配布ページで確認):
gpt-oss-20b(16GBのメモリ内で動く、Apache 2.0)、gpt-oss-120b(80GBのGPU1枚、Apache 2.0)、Qwen3.8-27B(Apache 2.0)、日本語を強化したSwallowシリーズ - ライセンス:Apache 2.0やMITのような緩いものから、独自の利用条件を持つものまである。商用で使えるかは、モデルごとに確かめる
- 「オープン」の意味:重みが公開されていても、学習データや学習の方法まで公開されているとは限らない。「オープンウェイト」と呼んで区別することもある
性能を左右するもの
- パラメータ数:大きいほど賢い傾向があるが、遅く、メモリも要る。必要なメモリは、メモリ見積もりツールで確かめられる
- MoE(専門家混合):中にたくさんの専門家を持ち、1トークンごとに一部だけを使う。メモリは総パラメータ数、計算は使う分で考える
- 文脈の長さ:一度に読める量。長いほど、長い文書を渡せるが、費用や待ち時間も増える
- 考えてから答える型:答える前に考える分、難しい問題に強いが、時間とトークンを使う
- 量子化:公開モデルを、ビット数を減らして小さくする。少し質を下げて、小さなGPUで動かせる
選び方
- データを外に出せるか:出せないなら、公開モデルを自分の環境で。出せるなら、クラウドのAPIが手軽で強い
- 必要な質:難しい推論や長い作業なら上位の段、日常的な処理なら中位、大量の分類や抽出なら下位
- 量と費用:大量に回すなら、小さいモデルや下位の段で足りるかを先に試す
- 日本語:モデルカードに書かれていないことも多い。日本語の質問で確かめる
- 最後は、自分の質問で比べる:候補を2〜3つに絞り、同じ質問のセットで、質、速さ、費用を測る
1つのシステムで、役割ごとに別のモデルを使うのも普通です。チャットには大きめのモデル、検索には埋め込みモデル、振り分けや分類には小さく速いモデル、という組み合わせです。
確認リスト
- データを外に出せるかを、最初に決めたか
- 候補のライセンスと、利用条件を確かめたか
- 公開モデルなら、GPUに載る大きさか
- 自分の用途の質問(日本語を含む)で、2〜3の候補を比べたか
- モデルの名前とバージョンを記録し、入れ替えるときに同じ質問で比べられるようにしたか